シェア料金35,000円!高級車を守りつつAnycaでシェアするオトコの考えつくされた戦略
Anycaユーザーのリアルな声を聞くことで、未来のAnycaユーザーに有益な情報をお届けする連載「クルマ好き記者鈴木GO太郎の、賢者のカーシェア術」。
今回登場していただくのは、テスラ・モデルSを24時間35,000円(休日38,000円)でシェアしている吉川氏(60代・東京都在住・Anyca歴1年半)。
現在、Anycaに登録されたクルマの中でも、高級車テスラの登録台数はわずか5台(2017年10月23日現在)。
新車価格で1,000万円を超える最先端の電気自動車テスラとなれば、愛車をシェアする人が少ないのはもちろん納得できる。
そんな中、なぜ吉川氏は愛車をシェアしているのか。現在、月に1〜2回シェアのリクエストが入るという彼に、愛車をシェアする理由、そして高級車をシェアする時に身につけるべき2つの戦略について聞いてみた。
ずっとポルシェ乗りだったオトコがテスラに変えた理由
「クルマに乗り始めた頃から、ずっとポルシェ乗りだったんです。911、スピードスター、ボクスター、カイエン……30年以上乗ってました。それがなぜテスラに乗り換えたのか。きっかけは2年前のポルシェの車検でした」
当時、乗っていた新車価格1,000万円を超えるカイエンターボを車検に通そうとした吉川氏。
しかし、ディラーから出た見積り価格なんと180万円。ブレーキパッドディスクなどのパーツを交換するということもあり、値下げ交渉をしても120万円と高額の見積もりとなった。
「他にも様々な理由があって、これをきっかけにポルシェ以外のディーラーを見てみようかと思ったんです。ただ、当初テスラはまったくターゲットに入ってなかった。色々なディーラーを回ってどこもしっくりこなかった時に、息子からふと『テスラは見たの?』と聞かれたのがきっかけです」
それから程なくして、彼は青山にあるテスラのディーラーでモデルSに試乗することになる。
結果は……。
「乗った瞬間に決めました。一目惚れです」
テスラの何がよいのか
当時のテスラ・モデルSは完全受注生産。ディーラーにある購入者用のスクリーンから色、内装、シートの質など、好みをタッチパネルで選んでいき、それによって購入価格が決定される。吉川氏にとって、すべてが新しいクルマの購入体験だった。
「購入して2年経ちましたが、まったく飽きません。ポルシェ好きの僕でも、走っていてすごく楽しいクルマ。まず、足回りとバランスが最高。車体剛性もよく、赤信号からの加速はスーパーカーと一緒、いやそれ以上かもしれない」
さらに、スポーツカー好きの吉川氏がテスラに惚れ込んだ意外なポイントは、その音だった。
「たとえばフェラーリやランボルギーニなどのスーパーカーは、実際に速いけど、マフラーから出る音が大きいことも速く感じる理由の一つなんです。ただ、音が大きいクルマって、長く走るとけっこう疲れてくる。テスラに乗って気づいたのは、音が静かなので長距離運転が全然疲れないこと。自動運転機能もあり、とにかく楽なんです」
乗り心地のよさはもちろんだが、テスラの魅力はそれだけではない。
「ランニングコストが圧倒的に違うんですよ。ステーションで充電すれば電気代はタダだし、購入時にメンテナンスのパッケージプランに入ればパーツは全部無料で交換してくれる。そのうえ、エコカー減税がつくので後からお金が入ってくる。スーパーカーに近いスペックなのに 、カイエンの時一年の重量税88,000円がゼロ、オーナーになってからの出費の少なさには本当に驚きました」
一般に、ポルシェやマセラティなど1,000万円を超える高級輸入車は、「乗ってからが高い」と言われる。ハイオクのガソリン代、欧州から輸入するパーツ代のほか、高排気量車の場合、重量税も10万円近くかかる。
「そういうコスト面の意味でも、これは未来に絶対普及するクルマだと確信しました」
なぜテスラをAnycaでシェアしたのか
そんな”テスラ愛”に満ちた吉川氏だが、なぜ愛車をAnycaでシェアしようと思ったのだろうか。
「きっかけはうちのかみさんがAnycaを教えてくれたこと。シェアするとお金がもらえるならいいか、と、軽い気持ちでAnycaの説明会に行ったんです。当時はカイエンとモデルSの2台を持っていて、カイエンをシェアしようと思っていたんです」
そこで、Anycaのスタッフに聞いてみたところ「カイエンはけっこうありますよ」と返答された。シェア料金は概ね8,000〜10,000円。
「でも、それだと差がつかないなと思った」と吉川氏。
そこで試しに「じゃあ、テスラは?」と尋ねてみたところ、途端にAnycaスタッフの目の色が変わった。
「テスラ持ってるんですか? ぜひ!! ぜひシェアしてください!」
決め手はスタッフの目の輝き。
これならニーズがあると確信したのだとか。
高級車をシェアする時に持つべき2つの視点
こうして平日35,000円(休日38,000円)で愛車のシェアを決めた吉川氏。だが、あれだけ”テスラ愛”に溢れる彼が、愛車をシェアすることに抵抗はなかったのだろうか。
「もちろんありましたよ。なるべく運転席には人を乗せたくないし、事故も怖い。事実、これまで24人くらいにシェアして、ホイルにガリ傷をつけられちゃったこともあるんです。だからこそ、僕なりに戦略を立ててAnycaでシェアしてるつもりです」
彼が目をつけたのは、ドライバーの選別と料金設定だ。
「僕のモデルSをドライバー利用する人は、ドライブ目的と購入検討の試乗目的の大きく2種類されます。3分の2が後者です。実際、僕がシェアした人のうち、少なくとも2人はその後テスラを購入しています。ディーラーでテスラを試乗できるのってせいぜい20分くらい。それだと思う存分試乗できないので、Anycaを使ってるのでしょうね。
購入目的の場合、ドライバーさんにとっても得があります。テスラは原則的に一切値引きをしません。数少ない例外が納車のときに自分で取りに行く場合(3万円引き)と、他のテスラオーナーの紹介で購入した場合(10万円引きとステーション電気チャージ無制限)。つまり、僕と知り合えば安くクルマが買えて電気チャージの特典が付くんですよ」
購入目的の人ならば、当然クルマを大事に乗りたい「本気」の人が集まる。さらに35,000円という高い料金設定ならば、それなりの社会的ステータスの人が集まりやすいだろう。こう睨んだのだ。
その予想通り、吉川氏にシェアリクエストを送るドライバーは、ITベンチャー企業の経営者が多いのだとか。
その結果、こんな効用もある。
「同じ車種が好きな人って、話が合うんですよ。それはテスラも同様。ドライバーさんとは、共通の趣味があることがわかってプライベートで飲みに行くようになったり、仕事の話になってその後ビジネスでつながったり、その後濃い付き合いが生まれた人も少なくありません。これも、35,000円というシェア料金にしたことで生まれた結果だと思います」
高級車を、高価格でシェアすることで、自分と嗜好が同じ人が自然に集まってくる。さらには未来のテスラ仲間となる人も生まれる。
つまり、吉川氏はAnycaを使うことで、単なる維持費軽減だけでなく新たな人間関係を築くことにも成功したのだ
高級車の価格競争には乗らない理由
ここで一つ疑問がある。
実は、Anycaには同じモデルSをシェアしているオーナーが他にもいる。そして、それらは吉川さんのクルマよりも安いシェア料金が設定されているのだ。だが、彼は今後もシェア料金を下げるつもりはないという。
「もちろん(同車種が安くシェアされているのは)知っています。それどころか、初めて僕にシェアのリクエストをくれる人には『モデルSなら、もっと安いのありますよ』と、他のオーナーさんを紹介しちゃってます(笑)
しかし言い換えれば、それでもあえて僕のクルマに乗りたい人は何か理由があるということ。少なくとも、僕のプロフィールとか、レビューを読んでリクエストしてる人でしょう。そういう人に僕は愛車をシェアしたいから、この料金設定にしてるんです」
他に安い同車種があるにもかかわらず、吉川さんの愛車をリクエストするという”本気度”が、彼にとっては「この人にならシェアしてもいい」という根拠になっているのだ。
この視点、高級車オーナーにとっては、”誰にシェアべきか”という点で大いに参考になるのではないだろうか。
10,000円で4人にシェアするのと、40,000円で1人にシェアするのはぜんぜん違う
そんな吉川氏に、今後愛車のシェアを検討している未来のAnycaオーナーへのアドバイスを聞いてみると、独自の視点で戦略を語ってくれた。
「僕のように大事な愛車を守りつつ、シェアもしたいという人はシェア料金は絶対安くしないほうがいいですね。たとえば、10,000円で4人にシェアするのと、40,000円で1人にシェアするのとでは、クルマへの負担も、ドライバーさんの質も全然違う。高級車は、料金を高めにして、シェア回数をそんなに多くしないのが個人的には正解。何人も違う人にシェアすると、それだけ事故に遭う確率もあがりますから。
また、40,000円でシェアする場合、ドライバーも限られますから、たいていはリピーターになります。僕の場合もそうです。さらに、そういう人は自分と気の合う人のケースが多いから、オーナー側としても納得してシェアできますし、未来の愛車仲間になるかもしれませんから、いいことだらけです(笑)」
シェアする「人」「車種」「料金」の三要素によって、自分がどのように愛車をシェアすべきかは変わる。
そのヒントとなる視点を提供してくれた吉川氏。
特に、高級車のオーナーにとっては参考になったのではないだろうか。
<取材・文/鈴木GO太郎>
鈴木GO太郎…ライター・編集者。出版社勤務を経て、2015年フリーに。現在はビジネス誌やネットニュースの編集を行う。専門分野は、自動車、不動産、地理。特に自動車についてはAnycaのような「新しいカービジネス」が専門分野