「Anycaオーナーは一度ドライバーになったほうがいい」Jeepチェロキーの購入費60万円をAnycaでまかない、多くのユーザーを招待したオーナーインタビュー
個人間カーシェア「Anyca」オーナーのリアルな声を聞くことで、未来のAnycaユーザーに有益な情報をお届けするコーナー「クルマ好き記者鈴木GO太郎の、賢者のカーシェア術」。
今回登場していただくのは、現在Anycaで24時間9000円で2000年式Jeep・チェロキーをシェアするオーナーの唐澤氏(20代・東京都在住・Anyca歴1年半)。
もともとはAnycaのドライバーだった唐澤氏。現在はオーナーとして、月平均4回のシェアリクエストが入っており、約4万円の収入を安定的に得ており、副業ではないが維持費を十分に軽減できている。
「1年半ですでに90回以上シェアしており、クルマ代は賄えている計算です。Anycaでシェアされやすくするコツは、徹底的にユーザー目線に立つことですね。自分が一度借りてみて、どんなクルマなら乗りたいのかわかれば、自然とシェアのリクエストは増えますよ」
では、Anycaにおける「ユーザー目線」とは何なのか。
「一日最低一回はAnycaを開く」という賢者に、とっておきのカーシェア術を解説していただいた。
Anycaオーナーから手に入れたクルマを即シェアに
唐澤氏が現在所有するJeep・チェロキーは、個人間売買で購入したものだ。
「もともとは僕がAnycaでシェアして乗っていたクルマなんです。5回ほど借りていたのですが、ある日オーナーさんから『もう売ろうと思ってるんだ』と言われて。それで、気に入っていたので『じゃあ、僕が買います』と言って売ってもらうことにしたんです」
こうして手に入れた2000年式JeepチェロキーをすぐにAnycaに登録した唐澤氏。「自分が借りていたこともあり、Anycaでシェアするのは当然の流れだった」という。
そして、愛車はすぐにリクエストランキングの上位に入った。
シェアされる3つのコツ
それでは、唐澤氏に「ユーザー目線」に立ったシェアされやすくするためのテクニックを聞いていこう。
1・返事は早く。1時間以内が理想
「Anycaのオーナーを始めて気づきましたが、『明日貸してください』『今日なんですけど、大丈夫ですか?』という直前リクエストはとても多いんですよ。なので、連絡が入ったら1時間以内に返事を送ったほうがいいです。時間が迫る中、ドライバーさんはクルマが借りれるか不安でしょうから」
早く返事を返さなければ、他のクルマにリクエストを送られる可能性も高くなる。
特に、リクエストが入りやすい週末の金曜日は「リクエストが入るかも」と意識しているという。
さらに興味深いのは、唐澤氏は週末にクルマで出かける予定があっても、シェアしてしまうこと。
「本当の直前ではない限り、自分のクルマを思い切ってシェアしちゃって、Anycaで代わりに安いクルマを借りることもあります。僕のチェロキーは9000円で貸しているので、同じ日にAnycaで3000円のクルマを借りれば6000円黒字ですよね」
なるほど、これは合理的。愛車をAnycaで迷いなくシェアすると決めている彼だからこそできる賢い行動だろう。
2・写真、文、受渡し時間もゼロベースで考え直してみる
唐澤氏の白眉な点は、徹底的にAnycaを研究し、常に試行錯誤を繰り返している点だ。
「朝起きたら、ベッドでAnycaをチェックするのが日課なくらいよく見てますね(笑) 今ではランキング上位のオーナーさんの名前やクルマは大体頭に入っています」
では、どんなプロフィール文だとリクエスト依頼が届きやすいのだろうか。
「リピーター割、自宅駐車場に受け取りに来てくれる方への割引、色々やりました。ポケモンGOが流行った頃に、『都内のポケストップに一日中クルマで一緒に回ります』とプランを組んだこともありましたね(笑) ただ、個人的に一番効果を実感したのは写真でした。山の中や、丸の内のオフィス街など、Jeepが映える場所で一眼レフカメラで撮った写真をアップしてみたところ、リクエストが増えました。他のクルマが概ね同じ場所で撮っているので目立つのでしょう」
また、受け渡しの時間にもこんな工夫が。
「日帰りドライブでAnycaを利用する際は、朝にクルマを受け取り、夕方に返却するケースが多いですよね。でも、早朝の受け渡しって、負担が大きくないですか? オーナーは早起きが必須だし、ドライバーもわざわざ駐車場のある場所まで移動しなければならない。さらに、クルマの説明にも時間を取られるので朝の出発が遅れます。これが、前日夜に受け渡しを済ませておけば、余裕を持って当日朝に出発できます」
3・徹底的なおもてなし。何があったら嬉しいか?
唐澤氏の「ユーザー目線」はまだまだある。
シェア回数が増えてくると、ドライバーの行き先の傾向も概ねわかってくる。彼は、その傾向をもとにこんなおもてなしを施した。
「僕のクルマのドライバーさんは、鎌倉観光、キャンプ、登山で使うことがほとんどだったんです。そこで、それぞれの目的に合わせてちょっとしたおもてなしを準備しました。
鎌倉観光の人には鎌倉の観光ガイドブック、キャンプで使う人にはキャンプ用の椅子、登山の人には衣服など汚れたものを入れる袋を無料で用意したんです。趣味が登山とキャンプなので、特に負担にも感じませんし」
こうしたおもてなしは、どれもドライバーから大好評。リピーターが多くつく結果となった。
他にも、唐澤氏のJeepチェロキーには以下のものが置かれているという。
・スマホを充電できるUSBケーブル
・無料で使えるゴミ袋
・傘
・カーナビ
・スマホのホルダー(車載ナビが古い場合スマホのナビがよい)
「どれも、僕がAnycaでクルマをシェアした時にあったら便利と思ったものばかりです。あとは、ガソリンスタンドの場所も予めナビに登録しておき、ドライバーがガソリンを入れやすく工夫しています」
オーナーが住んでいる土地は、ドライバーにとっては初めて訪れる不慣れな場所であることが多い。これは嬉しいおもてなしだ。
「オーナーになることを検討している人は、一度Anycaでクルマを借りる側になったほうがいいですね。何をされれば嬉しいのかがよくわかりますから」
なぜここまで「ユーザー目線」なのか?
ここまで、唐澤氏にシェアされやすくなるためのテクニックを聞いてきたが、彼がなぜここまで「ユーザー目線」に立てるのか、ふと疑問に思った人もいるのではないだろうか。
ひょっとして、マーケティング関連の会社や営業職に就いている?
「いえ、別にマーケティング会社で働いているわけではないですよ(笑)。うーん、強いて言えば、極めるのが好きなんですよね。Anycaでどうやったらシェアされやすいのか、考えて試すのにハマったんだと思います。あとはサービスが始まった初期から見ているので、思い入れが強いのも原因かもしれません」
いずれにせよ、その多大なるモチベーションにはただただ驚かされる。
最も大事なことは「シェアを前提でクルマを持つこと」
最後に、唐澤氏はリクエスト数を増やす最大の秘訣は「シェアする前提でクルマを持つこと」と答えてくれた。
「僕の愛車は古いクルマということもあり、多少の汚れは気にしていません。また、元々60万円で買っているので、そこまで副業的に利益をあげようという意識も強くない。お金がもらえるならラッキーという感覚です。それがリクエストが多い理由なのかもしれません。つまり、Anycaでクルマをシェアするならば、たくさん乗ってもらってもいいクルマに乗ること。それが結果的によい出会いや維持費削減に結びつくと思います」
<<ライター紹介>>
鈴木GO太郎…ライター・編集者。出版社勤務を経て、2015年フリーに。現在はビジネス誌やネットニュースの編集を行う。専門分野は、自動車、不動産、地理。特に自動車についてはAnycaのような「新しいカービジネス」が専門分野