多摩在住でシェア60回!愛車をキレイに乗ってもらうベテランオーナーのシェアのコツは?
Anycaのオーナーにリアルな声を聞くことで、未来のオーナーに有益な情報をお届けする連載「クルマ好き記者鈴木GO太郎の、賢者のカーシェア術」。
今回登場していただくのは、フランス車のシトロエンC3(2010年式)とマツダロードスター(2015年式)の2台をシェアしている滝本さん(40代・東京都在住・Anyca歴2年)。
実は滝本さん、Anycaを登録したきっかけはサービスが始まる前までさかのぼる。Anycaが立ち上がった当時、スタッフからオーナー登録への誘いがあり、愛車を登録することにしたのだとか。
つまり、滝本さんは言わばAnycaの生き字引。サービス開始当初からオーナーもドライバーも見続けてきただけに、Anycaのことを知り尽くしたベテランオーナーだと言えよう。
そんな滝本さんからは、シェアのコツだけでなくAnycaオーナーを無理なく続けるコツを話してもらった。
1: クルマを指名してリクエストが入る
2: Anycaのために看板を作る
3: シェアされるコツはやはり、あの2つ
4: キレイな部屋だと、みんな”キレイ”を維持する。だから…
5: 迅速な返信のためにコピペをする
6: Anycaを続けているとシェアの目的が変わってくる
1:クルマを指名してリクエストが入る
Anycaがリリースされてから早2年半。現在、滝本さんは月に平均1~2回のシェアが入り、これまで60回以上愛車をシェアしている。シトロエンC3は平日5,000円、マツダロードスターは平日8,000円だ。
「リクエスト数の月間最高記録は2017年11月の9回。これはさすがに特殊だとしても、現在まで安定してシェアが入っているという印象です。私のクルマを利用するドライバーさんはほとんどの方がレビュー数ゼロの方。つまり、Anycaを登録して初めて利用するクルマが私のクルマなのです」
現在、滝本さんが住んでいるのは東京西部の多摩地域に属する日野市。Anycaの利用が多い都心からは電車で40分ほど離れた場所だ。
シェアする条件的には不利とも言えるが……。
「多摩エリアということもあり、普段の足代わりに乗りたいという人はほとんどいません。変わったクルマに乗ってみたいと、遠方から来られる方が多いですね」
滝本さんが乗っている2台はフランス車とツーシーターのオープンカー。どちらも個性的なクルマだ。遠方から”指名”が入るのもうなずける。
「それまでマツダRX-8に乗っていたのですが、燃費がいいクルマがほしいなと思った時に、たまたま雑誌で見たシトロエンC3に一目惚れしたんです。ボディの個性的な水色も気に入って購入を決めました。もう1台のロードスターはかなりカスタムを加えています。エンジンのリミットも8,000回転まで上げ、車高調済み。他にも、マフラー、ホイール、タイヤもカスタムしています」
こうしたカスタム内容はプロフィール文にも細かく書いているため、そのスペックに魅力を感じて乗りに来る人が多いのだとか。
さらにこちらのロードスター、クルマをいじるための自宅兼ガレージに駐車されている。
そのガレージがこちら!
これは……文句なしにかっこいい!
「ガレージ付きの自宅は2009年に建てました。新型のロードスターを買うつもりでガレージ付きの自宅にしたんですよ。ここは多摩エリアですが、意外と交通の便も悪くないんです。自宅最寄り駅の高幡不動からは国立府中インターが近いので、冬にスキーも行きやすいですから」
2:Anycaのために看板を作る
そんな滝本さんのAnycaへの熱意は凄まじい。
なんと、カーシェアを始めるにあたり、Anycaのオリジナル看板を作ってしまったのだ!
「半分は趣味ですね。 たまたまタイムズのカーシェアを利用したときに、あ、これいいじゃんと思って(笑)。私の自宅は駅に向かう道沿いにあるので、通行人の方の目に止まってAnycaってなんだろうと検索してくれるといいかな、と。まだ看板経由でリクエストが入ったことはありませんが(笑)」
3:シェアされるコツはやはり、あの2つ
そんなAnyca歴2年の滝本さんに、シェア時に気をつけたことを聞いてみると。
「1点目は、やはりトップ写真。この記事に過去登場したオーナーさんも話していますが、トップに持ってくる写真は特徴的なものがよい。ほとんどのトップ写真は、クルマが正面から映っているものですよね。それだと他の人に埋もれちゃう。やはり、そのクルマの最大のウリとなる点をトップ写真に設定するのがよいでしょう」
なんといっても、滝本さんのシトロエンC3の最大の特徴は後部座席近くまで伸びたフロントガラス。視界が広がり、花見シーズンに河川敷を走ると車内からパノラマビューが楽しめる。これならAnycaのアプリを開いていてもかなり目に入りやすいだろう。
実際に乗せてもらうと、想像以上に空が広く感じる。ドライバーだけでなく、後部座席に座った子どもまでもが喜びそう。
さらに、2点目として挙げてくれたのはプロフィール文。
実は、滝本さんのC3のプロフィール文はとても詩的に構成されている。
か、かっこいい……!
でも、ここまで詩的な表現を書くのは……ちょっと上級者ではないでしょうか?
ここまでAnycaでプロフィール文を丁寧に作り込む意味って?
「そういう意見もあるかもしれませんが、私は、プロフィール文は作り込むことをおすすめします。Anycaのクルマの紹介文は、どんな人に乗ってほしいかという気持ちを表明する場でもあるからです」
なるほど。
「私は2台の愛車を丁寧に、そして楽しくドライバーさんに乗ってほしいと考えています。だからこそ、ここまで”想い”を書いているところはあるかもしれませんね。」
ロードスターには、「マフラーの音、エンジンの加速のよさを楽しんで欲しい。」、シトロエンC3は「空飛ぶじゅうたんのような乗り心地を体感して欲しい。」
どちらも、これに共感した人からのリクエストを待つというわけだ。
燃費など、単なるクルマの機能やスペックといった客観的な情報に加え、ドライバーが乗った時の”気分”を主観的に書くことでオーナーのクルマへの思い入れが伝わる。
大事な愛車を丁寧に乗ってほしいなら、客観的な情報に加えて主観的な言葉、そのクルマを選んだストーリーをあえて盛り込むのはアリかもしれない。
4:キレイな部屋だと、みんな”キレイ”を維持する。だから…
大事なクルマを大切に使ってもらうための工夫は他にもある。
「友人の家に遊びに行った時、キレイな部屋だとみんな帰る時に掃除してキレイに使いますよね。クルマも同じです。できるだけ洗車してピカピカにしてシェアするとみんな丁寧に乗ってくれるんです(笑) 。C3はガレージではなく、外の駐車場に停めていますが、こまめに洗車してるので傷をつけられたことがありません」
それは内装も同様だ。
「窓やミラーに吸盤で取り付けるようなお守りは付けないようにしています。生活感が出ないようにしています。お守りやキャラクターぬいぐるみなどは一切置かない。せいぜいスマホホルダーだけです」
クルマへの愛が、結果的にクルマのキレイを維持できているというわけだ。
5:迅速な返信のためにコピペをする
他に工夫している点を聞いてみると。
「返信の早さですね。返事はすぐに返すようにしています。ドライバーさんは前日までにシェアするクルマの候補を3つほど絞っているケースが大半です。となると、返事の早さはとても大事になってきます。そこである程度の定型文を用意しています。『リクエストありがとうございます!待ち合わせ場所ですが〜〜』など、絶対にやり取りをする会話はすべてスマホに入れています」
6:Anycaを続けているとシェアの目的が変わってくる
ここまで滝本さんから様々なシェアのコツを聞いてきたが、断りを入れるようにこんなことを話してくれた。
「ただ、私はおそらく他のオーナーさんに比べてそんなにAnycaで収入を得ていないんですよ。シェア料金も高くありませんし。それに、自分でもクルマに乗りたいんです。C3は冬場はスキーに、ロードスターはドライブ用に自分でも割と運転するので、あらかじめその日のスケジュールは『☓』をつけています。特にC3は、冬場は自分で使いたいので、夏場に稼いで冬場はあまりシェアしないという気持ちでいますね」
実は、当初はクルマの維持費に賄うことがAnycaに登録した目的だったという滝本さんだが、次第に”収入を得る”以外の価値を見出すようになった。 これはこの連載に過去登場したオーナーと重なる点だ。
クルマ離れが進む中で、自分のクルマをわざわざ乗りにくるために遠方から足を運んでくれる人の存在が「嬉しい」という。
「シェア料金をあえて安く設定して”回数狙い”の人もいますが、私は自分が無理してシェアをするのはイヤなんです。それに、愛車は最高の状態で乗って欲しいので、きちんと洗車してからシェアしています。だからこそ、乗っていただく人も選びたい。ドライバーさんもしっかり顔写真があり、プロフィール文が書かれている人を選ぶようにしています」
滝本さんからは、最後にシェアを考えているオーナーに向けてこんなアドバイスをもらった。
「ガツガツやるばかりがシェアではないと思います。現在、私は職場と自宅の距離が遠く、朝は早く家を出る必要があり、帰宅も21時を超えます。となると、生活リズムや自分のライフスタイルを崩すようなシェアをしていると、どこかで疲れや飽きが来てしまって長続きしません。目的は維持費を稼ぐことだから、無理なく持続性をもって続けることが重要です。」
それを象徴するように、滝本さんの紹介文の冒頭には注意書きがある。カレンダー上では空いていても、都合によってシェアできない場合がある旨を丁寧に書いている。
Anycaは、レンタカーではない。だからこそ、2年続けられたAnycaでのシェア。”肉食系オーナー”になって疲弊することなく、愛車と長い間付き合っていく滝本さんのシェアスタイルは、言わば”草食系”。
大事な愛車をAnycaでシェアしようか迷っている人には、滝本さんのような愛車に乗りつつ、シェアも楽しむスタイルはかなり参考になるものだろう。
■滝本さんが語る無理なくAnycaを続けるコツ
1:長期的に続けるためにスケジュールの無理はするな!
2:キレイに使ってほしかったら愛車をピカピカにせよ!
3:プロフィール文は”主観情報”も入れて望ましいオーナーに見つけてもらえ!
<取材・文/鈴木GO太郎>
鈴木GO太郎…ライター・編集者。出版社勤務を経て、2015年フリーに。現在はビジネス誌やネットニュースの編集を行う。専門分野は、自動車、不動産、地理。特に自動車についてはAnycaのような「新しいカービジネス」が専門分野