恋が成就するオープンカー!品川発。BMWZ4オーナーが語る人生を変えるシェア戦略
Anyca利用者のリアルな声を聞くことで、未来のAnyca利用者に有益な情報をお届けする連載「クルマ好き記者鈴木GO太郎の、賢者のカーシェア術」。
今回登場していただくのは、品川でBMWZ4を8,100円でシェアしている佐野さん(30代・東京都在住・Anyca歴3年)。
佐野さんはサービス開始当初の2016年2月末(Anycaは2015年9月スタート) からシェアを始めた”Anyca古参オーナー”とも言える存在。実は、Anycaの存在を知ってからシェアを前提としてクルマを購入したというまさにAnycaが生み出したカーオーナーだ。
「昨年までは月平均5〜6回のリクエストが入っていました。が、ここ半年は月に2〜3回ですね。Anycaの登録台数が増えたのと、私と同じZ4をシェアする方や品川でシェアする方が増えたので、この流れも致し方無いかなあという感想です」
冷静に現状を分析する佐野さん。こうした変化にまったく動じないのは彼のこれまでのシェア実績に理由があった。
なんと、彼がこれまでシェアした回数は100回オーバー。リピーターはごく一部で、初めて佐野さんのクルマを利用する方が大半だそうだ。
おそらく、初めてAnycaを利用する人にとっては、彼がとても安心できるオーナーであるのが選ばれている理由なのかもしれない。
そんな佐野さんには、Anyca歴が長いからこそわかる、これからニーズが高まりそうなクルマ、シェアを始めるにあたっての現実的な料金設定などを詳しく聞いてみた。
そして最後には、Anycaを始めたことがきっかけで生まれた彼の驚きのエピソードが飛び出した。
■Anycaのためにクルマを買った
■2年半のシェア実績は伊達じゃない。試行錯誤の数々
■恋が成就するオープンカー
■「Anycaで転職したんです」
■Anycaが普及した今、どんなクルマを買うべきか
Anycaのためにクルマを買った
では佐野さん、早速質問です。白いBMWのZ4を買った理由を教えてください!
「Anycaを始めるためです。Anycaオーナーになるには、クルマを持っていなきゃならないじゃないですか(笑)」
そう堂々と言い切る佐野さん。これまで本連載に登場したオーナーの多くは、あまり乗らなくなったクルマの有効活用を目的としている人が多かった。だが、佐野さんのようにここまで「Anycaのため」と言い切る人は珍しい。
「そもそも、私は”クルマを持ちたい派”ではなかったんです。クルマなんて、たまにしか乗らないのだからレンタカーでいいじゃんとずっと思ってましたから(笑)」
そんな佐野さん、Anycaとの衝撃的な出会いのエピソードを話してくれた。
「2年半前のことです。仕事終わり、テレビでたまたま『ワールドビジネスサテライト(テレビ東京系)』を見てたんです。そこでAnycaの存在を知って。確か、それが火曜日。それで、一度使ってみたいなと早速木曜日にAnycaでシェアをしまして。面白いサービスだし、今後も拡大していくだろうと見込んで日曜日にクルマを買いました」
え? Anycaを知った5日後にクルマを購入したんですか?
「はい、そうです!」
なんという行動力!
ちなみに、なぜZ4を選んだのでしょうか?
「当時の人気車ランキングを見ていたら、オープンカーと白いクルマが人気だったんです。それで、BMWのZ4が最適だなと思いまして。グレーのZ4はありましたが、白はなかったので白にしようと決めて、あとはカーセンサーで検索していいのがあったのですぐに問い合わせて決めました」
まさにAnycaのためにクルマを買ったことがわかるエピソード。こうして、それまでクルマを持ちたいとすら思わなかった佐野さんは、大島の中古車店で即断即決でZ4を一括購入。その翌々日にはAnycaのオーナー登録を完了させてしまったのだ。
「Anycaを知ってからクルマを買い、シェアを始めるまで一週間というのはなかなか早いかもしれませんね(笑)。それから3日後にすぐにリクエストが入りました。最初は銀座の中央通りで受け渡し。男性会社員の方でした」
白いBMWのオープンカーということで、遠方からのリクエストも珍しくないというが、なんと自宅マンションから徒歩1分の場所に住むご近所ドライバーもいるのだとか。
「基本的に品川駅受け渡しにしてますが、そのドライバーさんに限っては受け渡し場所は私の自宅マンション。橋を渡って1分。歩いて取りに来てくれます(笑)」
2年半のシェア実績は伊達じゃない。試行錯誤の数々
シェアの回数が多いだけに、佐野さんはシェアを増やすためにかなりの工夫をしているはず。プロフィールも丁寧に書かれていますね。
「紹介文に中国語を入れてます。台湾と中国に留学経験があり、中国語が話せるのですが、それがアピールポイントになっているようです」
すでに本連載でも何度か言及しているが、ここ1年ほどでAnycaには外国人ドライバーが増えている。彼はこうしたニーズをしっかり掴んでいたのだ。(※Anycaの利用には日本の自動車免許証が必要です)
実は、今回たった30分ほどのインタビュー取材だったが、ベテランオーナーの佐野さん、これまでかなりの工夫を重ねてきたようで、ここから怒涛の勢いでオーナーになってからの数々の試行錯誤を語り始めた。
その数があまりにも多いので、ライター鈴木GO太郎が簡潔に佐野さんの試行錯誤をまとめました。
【Z4オーナー佐野さんの試行錯誤(ほんの一例)】
・プロフィール写真にはしっかり自分の顔を出す。どんな人からシェアしてもらうのかわかるとドライバーは安心するので。
・奥さん(かなり美人ですby鈴木GO太郎)もクルマに乗っている写真を掲載。夫婦で楽しみながらシェアしていることを伝えるため。
・仕事終わりにドライブしたい人のために、ナイトプランを自分で設定(「品川なので仕事終わりに乗りたい人が多いかなと思いまして」by佐野さん)
・シェア料金は簡単に変えない。 シェア料金に惹かれてリクエストするドライバーは、より安い料金のクルマが出るとすぐ離れるため。
・友だちの紹介でシェアリクエストする場合に適用される「友だち割」、シェア後にSNSにアップした場合に適用する「SNS割」、雨の日にリクエストを入れた場合の「雨の日割」など、独自の割引制度を実施。
・話が盛り上がったオーナーとは積極的に飲みに行く。新しい出会いにより知見が広がる
以上、こうして列記するだけでも、かなりの工夫が施していることがわかる。
「最近私の記事を参考にしてくださるオーナー様もいらっしゃるようで、なんか、Anycaの中のインフルエンサーになった気持ちになれてちょっと嬉しいです。もう完全に自己満足の世界です(笑)」
恋が成就するオープンカー
こうして劇的なスピードでシェアを開始してから2年半。多くの方にシェアされた佐野さんのZ4が得たのは、単なるシェアによる維持費軽減だけではなかった。
「これまでのオーナーさんも話されていますが、普段の仕事だけをしていたら絶対に会わない経営者の方や学生さんと知り合えるのがAnycaに登録している醍醐味になりました」
佐野さんの愛車はBMWのオープンカー、しかも2シーターということで土日のデート使用が圧倒的に多い。
そのため、素敵なエピソードには枚挙に暇がない。
「当初はシェアによる収入を期待していましたが、クルマを通して思い出に貢献できるのが嬉しいんですよね。先日は結婚式で使いたいというシェアのリクエストが入りました。教会から式場まで新郎新婦が移動する時に使いたいということでして。あとから写真を見せてもらい、こちらも感動しちゃいました」
実は佐野さんのZ4、シェアによって色々な人の人生を変えてきたクルマなのだ。
「『次のドライブデート告白したいんですけど……』とリクエスト時に相談された方がいて、事後報告が来て彼はちゃんとうまくいったんですよ(笑)。あとは告白しないまでも勝負デートで使いたいとか、クルマは持ってないのですが、彼女に思い出に残るドライブデートをしたいとか」
中でも、最も思い出深いのが下記のエピソードだ。
「品川駅前で受け渡しだったのですが、20代前半の男女が受け取りにいらっしゃったので、『お二人はカップルですか?ドライブデート、素敵ですね』と思わずニヤけて言ったら、男性のほうから『いや……』と言葉を濁されたんです。あ、これはマズいことを言った…と焦ったのですが、夜にクルマを返却しに来た時に彼女さんから『今日のドライブがきっかけで付き合うことになりました(笑)素敵な時間をありがとうございます。』と報告を受けたときは本当に嬉しかったです!私のZ4でドライブデート中に友達から恋人になったんですね」
そんなテレビCMみたいなストーリーがあるんですね!
「他にも、結婚している男性から『奥さんとの結婚記念日デートに使わせてください。長野方面に星を見に行きます』とか。オープンカーをシェアしていると、こういうロマンチックなエピソードをたくさん聞けてこっちまで幸せになることが多いんですよ。そういう人の人生を変えるような存在のオープンカーをシェアするのは楽しいかもしれません」
「Anycaで転職したんです」
そして何より、佐野さん自身がAnycaで人生が変わった人間なのだ。
「実は、昨年転職したのですが、きっかけはAnycaでシェアしたドライバーさんでした。すごく優秀な方で、話が盛り上がってそのまま仲良くなりまして、嬉しいことにある時期に声をかけられました。今はドライバーさんが役員をしているベンチャー企業で働いています。私は、Anycaで転職したんです」
カーシェアが人と人のつながりを生み出すというのはこれまで何度も紹介してきたが、転職するきっかけまで与えるAnyca、すごすぎでは……?
「Anycaではオーナーでしたが、職場ではドライバーが上司で、オーナーである私が部下。彼とこうして会わなければ絶対になかったことですね。 転職してから8ヶ月ほど経ちましたが、ベンチャー企業は決められたルールはなく、常に自分で考えて動くことが前提なので、楽しく主体的に仕事ができています!」
Anycaが普及した今、どんなクルマを買うべきか
なんだか、採用サイトのような記事になってきまましたので、話を戻しましょう!
すでに100回以上のシェアをし、Anycaで維持費を賄えている佐野さん。
クルマの購入を検討している未来のオーナーに向けてアドバイスをいただけないでしょうか。
「維持費を軽減する目的でAnycaを始めた私が言うのもなんですが、シェア回数が増えると、業務のように感じてしまうので私はおすすめしません。理想は月4回程度。それくらいだと負担がかかりませんし、洗車もできて丁寧にドライバーさんに対応できる限度だと思います」
では、車種はどんなものを選べばよいでしょうか?
「今はどのクルマの登録台数も増えてきましたから、かなり尖ってないと目立てないと感じています。Z4はもちろん、Anyca人気機種であるポルシェのカイエンも都心で十数台登録されており、現在の人気車種でシェアを始めても思ったほどリクエストが伸びないかもしれません。」
佐野さん曰く、これからはターゲットが明確なクルマを選んだほうがいいとのこと。
「例えば、私が今からAnycaを始めるならば、思い切って光岡のHIMIKOを買います。街中ではまず見かけないレアなクルマですね。それからレア車は古くてもシェア料金を安く設定しなくていいのもポイントです。個人的には料金は安くしないほうがいいと思っています。シェア料金5,000円で5回シェアさせるよりも、シェア料金8,000円に設定して3回シェアされたい派です。料金の安さ勝負に陥ると、私もドライバー様も軽い気持ちになってしまいシェアリングエコノミーの楽しみである人と人の思いやり意識(ホスピタリティ)が薄れてしまう気がして」
かなり具体的なアドバイス、ありがとうございます!
※ ※ ※
もともと、ちょっとした好奇心。わずか一週間で始めたAnycaでのカーシェアが、誰かの人生を変え、何より自分の人生まで変えてしまう。
シェアを楽しみながら続ける佐野さんのスタイルは、Anycaの登録台数が増えた今だからこそ大いに参考になるものかもしれない。
【佐野さんが教える!シェアのコツ】
・シェア回数の理想は月4回
・今から始めるならレアな車をシェアせよ
・料金設定は5,000円5回より、8,000円3回
・外国人対応のプロフィール文を用意せよ
・シェアリングエコノミーの最大の楽しみは、ホスピタリティー
<取材・文/鈴木GO太郎>
鈴木GO太郎…ライター・編集者。出版社勤務を経て、2015年フリーに。現在はビジネス誌やネットニュースの編集を行う。専門分野は、自動車、不動産、地理。特に自動車についてはAnycaのような「新しいカービジネス」が専門分野